
村上龍 むらかみ・りゅう ● 1952年、長崎県生まれ。76年、武蔵野美術大学在学中『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。その後、『コインロッカー・ベイビーズ』『五分後の世界』『希望の国のエクソダス』などを発表する。99年から、メールマガジン『JMM』を主宰し、金融問題、政治問題などについて配信している。『カンブリア宮殿』(毎週木曜夜10時 テレビ東京系)にもMCとして出演中。近著に長編小説『歌うクジラ』がある。
非常に不思議なことがある。ほとんど全ての雑誌から「人生相談」が消えてしまった。
村上龍氏からのメッセージ
閉塞と混迷の時代だと言われているのに、どういうわけか、雑誌から「人生相談」が消えて久しい。一因は、「普通の生き方」「人生の基準・スタンダード」が失われたからではないかと思う。今、「普通の大学生」「普通のサラリーマン」「普通の結婚」など、イメージするのはむずかしい。「普通の大学生」はどんな会社に就職するのか。「普通のサラリーマン」の年収はどのくらいか。「普通の結婚」で結ばれたカップルはどんなところに新居を構えるのか。答えられる人はおそらくいないだろう。格差を伴った多様化が進み、定着してしまったからだ。
そんな時代に、あえて本誌で「人生相談」をやってみようと思ったのは、現代の悩みや迷いのほうが、たとえばかつての高度成長時代のものよりも普遍的で、切実だと思っているからだ。その「迷い・悩み」に向かい合うことで、「選択と自由」という重要なテーマを示したいと考えている。
村上龍
- 高い離職率、労働市場の未整備、資格取得の困難さなど雇用流動化・不安
- 就職難、非正規雇用、低賃金労働、サービス残業などの雇用不安
- 結婚相談所の隆盛、晩婚化、少子化などライフサイクルの混乱
- 医療、年金、介護などの社会保障への不安
- うつ病と自殺の増加など精神的な不安の増加